脳出血による障害の手記  
「もういちど 歩き出そう」      

第22話  高圧酸素治療について

最近この『手記』を見ていただいた何人かの方からメールをいただき、自分でも改めて内容を見直しました。
そして、補記しておこうと思うことをいくつか思い出したので、話が時間の経過と前後するのですが記しておきたいと思います。
一つは、「高圧酸素治療」というものですが、これは入院後3週間?程してから行った治療です。
急性期の点滴による治療が一段落し、リハビリが始まるとほぼ同時にこの治療をおこないました。
高圧酸素治療というのは、以前からTVで潜水病の治療に使っているのを見て知ってはいましたが、自分も体験するとは思ってもいませんでした。
しかし、後で調べてみるとこの治療法はいろいろなケースに使われているようです。
今回の私が受けた脳血管障害治療ももその一つでした。
私が使ったタンクは一人用のもので(何人かで入る小さな部屋状のタンクもあるそうです。昔は、非常にはやった?時期もあり巨大な施設のものもあったようです。しかし、同時に発火・爆発のリスクがたかく巨大な設備は影をひそめたようです)、高圧の純酸素の中に入るため静電気による発火の防止として専用の治療着に着替え、高圧酸素タンクの中に横になり、2気圧(10mの潜水に相当する圧力です)で約60分間酸素を吸入します。
でも前後に10分間ほどの加圧・減圧の時間があるので、およそ1時間30分近くかかります。
また、いくら純粋な高圧酸素の中にいるとはいえ写真のように非常に狭い中なので慣れるまでの間は、閉所恐怖症のような気持ちを起こし、何かとても息苦しく感じました。
人によっては、気持ちが悪くなったりして我慢ができなくなる人もいるようですが、中にはインターホンもついているので外にいる技師の方と話ができるようになっていて途中で切り上げることもできます。
タンクの中にはまた小型のテレビがついていたのでこの間、テレビを見ていることができますが、自分でチャンネルはかえれないので最初に係りの人に頼んで変えてもらっておかなければなりません。
後はただ中でじっとしているだけです。
私の場合は、全部で20回入りました。人によって回数は違いがあるようですが、10回がひとつの基準のようでした。
原理・目的としては、血管内の酸素量を10倍にし血管から組織への酸素の拡散能力を3倍にし、回復可能な組織を活性化することだそうです。
入院した病院にはこの装置が4台あり、4人の患者が同時に治療を受けることができるようになっていました。
一番大変だったのは、タンクの中への出入りです。
後半は、慣れやリハビリの成果によりいくらか自分の力でベッドへの上がり降りができましたが、初めの頃は看護師の方や技師の方たち3人・4人がかりで持ち上げられセットされたものでした。
ヘルパーさんは女性ながら力強く、コツも把握していて安心していれるのですが、ヘルパーさんがいないときに技師の方たちがやってくれることがあるのですが、男性でもきゃしゃな方のためおっかなびっくりでした。
なにか、ずっと前のできごとのようにおもわれます。



(2003年05月11日)
  グリアTOP

  ・手記トップへ戻る ・前のページ ・次のページ

     メール    「脳出血による障害の手記」の掲示板