人工関節手術は、他の人口臓器の手術などとは意味合いが違います。関節をそっくりそのまま取り替えてしまうという ことではありません。 関節の表面の擦れ合う部分を、人工のものに置き換えることにより、痛みがなく、必要な動きが取れ、しかも支持性の ある関節を再建して、よりよい日常生活を送っていただくことを目的としています。 人工関節の(手術後の)問題点は 1)手術を受けた後の細菌などによる感染--クリーンルームでの手術室「感染症にも注意」 2)人工関節の磨耗 人工関節部の動きは、金属と高密度ポリエチレンの接触面で確保されるため、長期使用によるその面の磨耗が問題になる ことがありますが、平均的なリウマチ患者さんの日常生活の範囲内においては、磨耗の心配をなさる必要は余りない でしょう。 3)人工関節のゆるみ 人工物を埋め込むわけですから、緩みが出る可能性があります。人工関節を支えている自身の骨自体の弱さによる緩みです。骨を守る条件(カルシウムおよびビタミンDの摂取、適度の運動および日光浴)のすべてを等しく充足し続けることが肝要です。人工関節の緩みが一定限度を超えると、入れ替えなければならなくなります。 4)人工関節の辺縁部の骨折 多くのの方が、転倒された経験をもっていらっしゃると思います。人工関節を入れている方は、特に転倒に注意してください。人工関節部のところを骨折されると、その修復が難しいとともに、うまくリハビリ治療を行えず、関節の動きが悪くなるおそれがあります。。 |
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新しい動き---拒否反応少ない「自己血輸血」採用と小切開で出血少なく短時間手術可能 人工股関節の手術は、太い大(だい)腿(たい)骨を切断するため、骨髄などから出血が避けられない。手術中より手術後の方が出血量が多く、輸血が必要になる。手術後の出血を補うために用いられる輸血を自分の血液で行う「自己血輸血」があります。自己血輸血にはあらかじめ血液を貯めておく「貯血式自己血輸血」と、手術中もしくは術後にでてきた血液を洗浄してもどす「回収式」があり、自己血輸血を用いることで、他人の血液を輸血することによる病気の感染を防止することができますし、拒否反応もありません。人工股関節には、骨に埋め込んで固定するのに、骨セメントを使う型と使わない(セメントレス)種類がある。近年はセメントレスタイプが増えてきましたが、手術後の出血量が多い短所もあります。さらに、麻酔管理の向上と骨セメントを用いない人工股関節の開発で、より安全なものになってきています。最近では、患者さんによりやさしい治療法が注目されています。それは、手術の時の皮膚切開を短くする方法です。これまでの切開長は約20cm必要でしたが、手術法と手術器具の工夫で7―10cmの切開で手術ができるようになったのです。この小切開人工股関節を行う技術は、外科医の習熟が必要ですが、出血量も少なく手術時間も短くなり、患者の負担が極端に少なくなり、筋肉の切開も少ないので、術後の痛みも少なく、筋力回復も早くなり、患者さんの経済的負担も軽減されます。 |
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人工股関節 |
人工股関節形成術の適応疾患として多いものは変形性股関節症と慢性関節リウマチです。 人工股関節置換術は、損傷して痛んでいる股関節の部分を、プロテーゼと呼ばれる人工股関節に置き換え、関節の代わりまたは補助をするものです。 人工股関節は、金属製のソケット、ボール、ステムからできています。ソケットの外側のシェルは金属、内側のシェルはプラスチックで普通できており、ソケット全体がプラスチックでできているものもあります。 金属のボールがソケットに組み込まれれば、スムーズで殆ど摩擦のない動きが得られます。 人工股関節の寿命は患者さんにより様々です。患者さんの身体的条件、活動度、体重、手術中の人工股関節置換の正確度など、多くの要素が関係します。 人工股関節は、本来の健康な股関節ほど強くもなく耐久性もなく、人工股関節が生涯使えるという保証はありません。 |
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人工膝関節 |
膝関節の障害には様々なものがあり、膝に部分的な障害がおこるものもありますが、変形性膝関節症や慢性関節リウマチなどでは、膝関節全体の変化を来すものもあります。 この様な膝関節全体の障害による痛みの治療に役立つのが人工膝関節です。人工関節の歴史的な最初の手術はまず股関節で行われ、その成功が膝関節に応用されて発展してきました。人工膝関節置換術とは、骨のすり合わせの部分を金属やプラスチックのインプラントに付け替える手術です。通常、医師は特殊な精密器具を使って3個の骨の損傷面を取り除き、そこへ代わりのインプラントを固定します。寿命は、人工股関節と同じように考えてください。 |
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膝と股関節以外の 人工関節 |
人工関節の手術は、股関節と膝関節で全体の9割以上を占める。そのほか、肩やひじの手術も年間1000件前後行われており、足首や手指の人工関節も開発されている。 |
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類 | 症 状 | |||||||||||||||||
慢性関節リウマチ | 難病疾患のひとつであり、全身の結合組織に病変を起こす膠原病のうち、関節に炎症や激しい痛みが起こって骨が破壊されていく。 診断基準 @朝のこわばりが少なくとも1時間あり、6週間以上続く A3種類以上の関節の腫れや痛みが6週間以上続く B手関節、または指関節(末梢関節を除く)の腫れや痛みが6週間以上続く C対称性の関節に腫れや痛みがある Dレントゲン写真を撮ったときに、手のX線変化がある E皮下結節がある Fリウマチ因子がある 以上の7つの項目のうち4項目以上該当すれば、慢性関節リウマチと診断される。 |
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病院選びのポイント | @初期段階では、整形外科よりもリウマチ科、または内科共同診療の整形外科にかかること A重度段階で、人工関節置換術を受ける場合は、実績ある整形外科専門医にかかる Bリハビリテーションメニューが豊富にそろっていること C医師・薬剤師が薬の相互作用について詳しい説明をしてくれる 国は、手術の質を高めるため、年間50件に満たない医療機関の診療報酬を減額した。手術の際には、実施件数に加え、その病院での感染症の発生率、輸血の有無といった具体的な説明を事前に受けることが重要 |
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該当診療科 | ・整形外科 ・内分泌代謝科、内科 ・リウマチ科 |
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医療機関 |
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E-mail gria@plum.plala.or.jp